式年遷宮にまつわる数々のお祭りの中でも、特に重要とされる「遷御の儀」。神さまにあたらしい正殿へお遷りを願うお祭りです。この模型は、その様子を1/6スケールで再現しています。参列している神職の表情や所作まで作りこまれており、彼らが歩く先には外宮正殿の原寸大模型が見えるようになっています。ぜひ目線の高さを彼らに合わせて、じっくりご覧ください。
宮のお祭りは、事前に全体が揃った練習を行いません。これは式年遷宮のお祭りでも同じです。日が落ちて足元が暗い中、月明りの下で本番を迎えます。まわりは大変な緊張に包まれます。それでも、神職の一人ひとりがお祭り全体の流れを理解し、自分の役割をまっとうすることで、この20年に一度のお祭りは、滞りなく行われます。
せんぐう館には、
せんぐう館に展示された資料は、多くの方に日本の伝統美をご覧いただくという役割の他に、後世に伝えるお手本としての役割も担います。特に、次世代の方々にとっては、先人の仕事を目の当たりにできる唯一の場。式年遷宮が近づくたびに、当館に多くの若者が訪れ、繋ぐべき目標として展示品を見つめていただきたいと期待しています。
伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮の他に、年間1500回を超えるお祭りのなかで驚くほど多くのおそなえものが作られます。それを末長く実現できるのは、自然の幸にめぐまれた伊勢だからこそ。大木が育つ山。資材を運ぶための川や港。塩が取れる清らかな海と良質な砂浜。大勢の人が生きていくための豊かな水と土壌。そのすべてが一つにまとまり、バランスよく揃っているのが、この伊勢という土地なのです。
伊勢に住む人々の多くは、自主的に式年遷宮にかかわります。彼らが活躍する場は、新殿造営のご用材を神宮に運び込む「
伊勢神宮では、毎日神さまにお食事をおそなえして平和と幸福を祈っています。おそなえもののなかで一番大切なものはお米です。そしてお米から作られるお酒があり、命を保つために必要な塩と水。さらに季節ごとの野菜・果物・海草・魚もあります。みなさんの食事と比べても、どこか似ていませんか? そう、神さまには、私たちと同じものを食べておられます。
神さまのお食事の材料は、お米は
せんぐう館の受付をすぎると、まず目に飛び込んでくるのは木製の扉です。大きく、重そうなこの扉は、正式には「
この御扉は、せんぐう館に展示されている資料の中でも実際に使用されたもののひとつです。昭和28年(1953)の式年遷宮の時に調えられたもので、樹齢400年を超える