EXHIBITION GUIDE

展示案内

瑞穂の国

  • 平安への祈り

    わが国は古くから「瑞々みずみずしく美しい稲穂が稔り栄える国」を意味する「豊葦原瑞穂国とよあしはらのみずほのくに」と呼ばれてきました。稲作は、神代の昔に天照大神あまてらすおおみかみが、高天原たかまのはらから地上に天降る瓊瓊杵尊ににぎのみことに、日本人の主食にするようにお授けになられたものとわが国最古の正史『日本書紀』は伝えています。古来、人々は稲作を営み、毎年の収穫に感謝して、神宿る鎮守の森で世の平安を祈るお祭りをつづけてきました。

  • 伊勢神宮とは

    伊勢神宮は正式には「神宮」といい、
    天照大神あまてらすおおみかみをおまつりする皇大神宮(内宮)と天照大神の御饌都神みけつかみである豊受大神とようけのおおみかみをお祀りする豊受大神宮(外宮)の二つの正宮を中心に百二十五の宮社からなります。毎年千五百回を超える祭典が行われ、天照大神の広大無辺なご神徳を讃え、限りない神恩に感謝して国家の隆昌・五穀の豊穣・国民の幸福を日々お祈りしています。

    伊勢神宮
  • 日別朝夕大御饌祭

    外宮では毎日朝夕、神様に神饌しんせんをお供えする日別朝夕大御饌祭ひごとあさゆうおおみけさいが行われています。一年を通して豊かな稔りを祈り、恵みに感謝を申し上げるおまつりです。神饌は米・酒・塩・水に四季折々の海の幸や山の幸です。その一例を模型で紹介しています。その品々はパネルで紹介している神田しんでんを始め、
    「御料地」ごりょうちと呼ばれる神宮の施設で調えられています。またこのお祭りにお供えする神饌を調理するために身を清めた神職が毎朝火を起こしています。これを火鑽ひきりといいます。

    日別朝夕大御饌祭

式年遷宮

繰り返される祈り 伝えられる智恵と営み

神宮式年遷宮とは、20年に一度、隣接する御敷地みしきちに交互に社殿を新しく建て、神様にお遷りいただくわが国最大のお祭りのことです。第41代持統天皇の4年(690)に始められてから1300年以上にわたって続けられており、平成25年には第62回式年遷宮が行われました。
式年遷宮では、社殿とともに殿内の装飾品と御祭神の御用に供する品々である御装束神宝おんしょうぞくしんぽうも一新して、天照大神の限りない御神徳を称え平和と繁栄を祈ります。

渡御御列の模型
式年遷宮の中で大神に新宮にお遷りいただく祭儀を「遷御せんぎょ」といい、その日時は天皇陛下がお定めになります。
宮域の明かりが消された浄闇じょうあんの中、仮御船代かりみふなしろに納められた大神の御神体は、大宮司以下の神職にいただかれて新宮へとお渡りになられます。
展示室4の模型は、渡御の御列を6分の1のスケールで再現したものです。供奉ぐふする神職が捧持ほうじする御装束神宝の意匠についても細部まで忠実に造形し、さらに映像と音声を使用して祭儀の様子を臨場感豊かに再現しています。
神宮式年遷宮

永遠の匠たち

御装束神宝の調製

式年遷宮では正宮と別宮の御装束神宝714種・1576点の全てを新調します。御装束神宝とは、紡織具・武具・馬具・楽器・文具など御祭神の御用に供する品々や殿内の舗設品・服飾品・遷御に用いる威儀具のことです。その多くは、「延暦儀式帳」(804年)・「延喜式」「伊勢太神宮」(927年)・「長暦送官符」(1038年)などに記載されている品目・様式・技法・材料を現代に伝えています。展示室3では、多様な工芸技術を総合的に駆使して調製する太刀・木彫の馬・馬具などについて、また展示室4では、染織・漆芸・金工・木工・竹工等の各種伝統工芸技術とそれによって調製される品々を紹介しています。御装束神宝の調製に必要とする極めて高度の技術は、神々に最高のものを捧げる精神によって絶えず磨き鍛えられ、そして洗練されて今日まで伝承されてきました。

社殿の造営

式年遷宮では、二十年に一度、内宮・外宮の両正宮と十四の別宮を、隣接する御敷地に新たに建造します。御用材の檜約一万本は、天皇陛下に御治定いただいた御杣山から伐り出され、造営には足掛け九年の歳月を要します。展示室6にて紹介する各部材の制作工程品と多種多様な大工道具からは、意匠は変えずに麗しく洗練した社殿を生み出してきた宮大工の神に捧げる精神を読み取ることができます。えずに麗しく洗練した社殿を生み出してきた宮大工の神に捧げる精神を読み取ることができます。大工道具からは、意匠は変えずに麗しく洗練した社殿を生み出してきた宮大工の神に捧げる精神を読み取ることができます。

外宮殿舎 配置模型

この模型は、外宮の正宮を実物の1/20の規模で忠実に再現したものです。この模型によって、
豊受大神とようけのおおみかみをお祀りする正殿を中心とする外宮の祭場を詳細に知ることができます。
正殿の御前みまえ神饌しんせんが供進されるのは神嘗祭かんなめさいなど年間三度の祭典に限られ、日常は、より古い時代の建築様式を色濃く伝える御饌殿みけんでんにて天照大神を始めとする神々に、朝と夕の二度神饌が供進されます。

外宮正殿 原寸大模型

豊受大神とようけのおおみかみを祀る外宮正殿げくうしょうでんの東側の側面を忠実に再現したものです。伊勢神宮の社殿は神社建築のなかで最も古い神明造しんめいづくりという建築様式で、古代の高床式の建物に由来します。切妻造の平入で、柱は檜の素木を地中に埋め込んだ掘立柱、鰹木かつおぎを載せた萱材の屋根、屋根の搏風はふと一体となった千木、東西の棟持柱むなもちばしらなどがその特徴です。
また御扉みとびらや各部材の木口などには銅の上に金鍍金などのメッキを施した金銅錺金物こんどうのかざりかなものを装着しています。この建物は、実物と同じ素材を用い、社殿の造営に携わった宮大工が造りました。